江戸の風俗用語

今も使われる江戸の風俗用語


吉原の言葉

江戸時代、遊郭として栄えた吉原で生まれた風俗用語がたくさんあります。ほとんどは風俗で実際に行われていた行動などから派生し、別の意味を持って今も風俗業界を中心に使われています。

お茶をひく

「お茶をひく」もしくは「お茶ひき」という言葉があります。指名をせずに風俗で遊んだものの、いわゆるはずれの女性がきてしまったとき、「お茶ひきだった」などと言います。これはお客がつかない暇な女性のことを指します。吉原で出されるお茶は、丁寧に細かく挽かれた抹茶です。非常に手間のかかるこの抹茶は、お客がつかずに暇な女性が挽かなければならなかったようです。そのため、お客がつかず暇な女性を「お茶ひき」などと呼ぶようです。

1回の仕事は「1本」

江戸時代ならではの風俗用語もあります。それが風俗の仕事1回を1本と呼ぶことです。今のように時計がなかった江戸時代、遊郭では1回の仕事を、線香1本が燃え尽きるまでとしていたそうです。線香の燃える時間は、同じ長さならほぼ同じ。時間をより正確に計る時計代わりの目安になります。そこから、風俗では仕事を1本と呼ぶようになったようです。

裏を返す

風俗経験のある人なら、気に入った女性を再び指名したこともあるでしょう。その場合、「裏を返す」という言葉を耳にします。これも江戸時代ならではの言葉で、この頃の遊郭には、今のコンパニオン写真の代わりに、女性の名前を書いた名札が下がっていました。そして、女性が指名されると名札を裏返しにします。このことがもとになって、指名して再び同じ女性に会うことを「裏を返す」という風に使います。余談ですが、3回以上同じ女性を指名すると「馴染み」と言っていたようです。常連さんの意味として、「馴染みの客」などは風俗に限らず、今では普通に使われていますね。

現在では風俗以外で使われる用語

風俗以外にも、江戸吉原の風俗用語の名残があります。お寿司屋さんなどで、お茶のことを「あがり」ということがあります。これは、「お茶」が風俗用語の「お茶ひき」を連想してしまい、縁起が悪いということで「あがり花」という言葉に言い換えたのだそうです。「あがり花」が省略されて「あがり」となり、お茶のことを指すようになったようです。他にも、吉原付近で紙を作っていた職人が、紙を冷やす作業で時間を持て余したとき、特に遊郭へ入るわけでもないのに遊郭をうろうろと見て回っていたことからできた「冷やかし」も、今では普通に使われていますね。